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「アメリカで駐在員として働く」 第2回
福井鋲螺株式会社のアメリカ法人、Byora USA副社長光山氏にお話を伺った、「アメリカで駐在員として働く」の第二回目は、日本とアメリカでの違い、駐在員として働く上でのやりがい、そして留学生へのメッセージなどを伺っていきます。
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★光山 博敏 氏
Byora USA 副社長
★倉石 彩乃
インタビュアー(帰国GO.com)
倉石:光山さんは、今後もずっとアメリカで仕事をしていきたいと思われているのでしょうか?
光山:僕は日本にいずれは帰りたいと思っています。学生時代はアメリカ文化や英語の響きの美しさがとても好きでアメリカに永住して仕事をしたいと思ってきましたが、年を重ねるにつれやはり日本って良い国だなぁと思い始めています。
留学生の方々は「早く駐在したい」「アメリカで永住したい」という気持ちが強いのではないでしょうか?自分もそうだったのですごく分かります。ただ今現在の私からアドバイスさせて頂くとすれば、学生の皆さんがこれから迎える10年間には結婚したり、家族が増えたりこれまで想像もできなかったことが次々起こると思うんです。考え方も生活環境も年齢とともに次第に変化してくると思うので、長い人生で見た場合、目先の数年を焦せるあまりアメリカで就職し人生の選択肢を減らすよりはまず日本の会社に就職し、日本社会を知ってからでも遅くはないということを伝えたいです。日本のビジネス社会、企業を知った上で将来に向けて最善の選択をするのがベストでしょうね。
倉石:先ほど日本の良いところとアメリカの良いところをミックスしてという話がでてきましたが、企業や働くという点で、日本とアメリカ、それぞれの長所はどういうところだと思いますか?
光山:新入社員で日本企業に入社したときには、仕事が終わってからの付き合いなどは苦痛でしょうがなかったですね。(笑)でも今この歳になるとちょっと違った見方で捉えることが出来るようになりました。立場が変わって管理する側になるとやっぱり部下はかわいいし、色々教えてあげたいですね。また、管理する上でコミュニケーションをとることは非常に大事ということが最近わかるようになりました。今から思うと仕事だけでなく人間的な成長やもっと深いところで先輩や上司が見守ってくれていた点などは日本の良いところだと思います。アメリカの良い部分は日本の職場にはない開放感と家族第一主義で人間関係がシンプルな所が特に若い方達には新鮮で心地よい部分ではないかと思います。話が長くなるので割愛しますが最近ようやく日米のよい所を冷静に見ることが出来るようになったと思います。
倉石:Byora USAの風土は日本の会社に近いのでしょうか?
光山:基本は日本的ですが、これまでの経験を生かしてうまく“いいとこ取り”はできていると思います。現在この現地法人を任されていますが、プロとしてやることはしっかりやるがプロセスはやっぱり楽しく効率的にと思っています。ギスギスした雰囲気だと個々の力がうまく発揮されないと思うので、モチベーションをあげてもらうために、いつも社員には受身で一方的にやらされるのではなく主体的に「こうすることで会社が良くなるんじゃないか?会社に利益をもたらすのではないか?」という考える癖をつけてもらうようにしています。常に指示を待つのではなく、自分主体で動いて仕事に取り組んでいかないと仕事は苦痛でしかないでしょう。また「今あるやり方に満足せずにもっといい方法を探して、日々新しいことを考える癖をつけてほしい」と伝えています。
倉石:それは法人独自の風土なのかそれとも、福井鋲螺全体がそういう考えなのでしょうか?
光山:基本的にこれは私の個人的な哲学ですが、弊社の本社社長もとても時代にフレキシブルに対応し、やる気のある若手には大きいチャンスをどんどん与えてくれます。主体的に仕事に取り組むという意味では会社の一種の風土だと思います。
倉石:同じくらいの年代で本社で働いている方と、駐在としてここで仕事をしている光山さんとでは任される仕事の量は変わりますか?
光山:転職組なので単純に同期入社という人はいないのですが、現地法人を任されるという意味では責任の重さは違うかもしれませんね。福井鋲螺に限らず駐在員は基本的に会社の エース級が現地に送られる傾向があります。会社であまり期待されてない人が来ることは少ないでしょう。つまり駐在員に抜擢され海外で活躍するためには、日本での業務実績が如何に大切かお分かりいただけるかと思います。海外で働きたいと主張するだけでなく自分の持てる力で努力して結果を残していけば当然会社はいつかきちんと評価してくれると思います。それにかかる年数が3年なのか10年なのかはケースバイケースですが、日々全力を尽くすことがまず一番でしょう。海外でこういう仕事がしたいという目標をまず設定し目標達成のために今日するべきことは何かを逆算し仕事に取り組むことで日々仕事への取り組み方が変わってくると思います。会社から任されたことを全力で取り組み、その積み重ねの結果、「そろそろ彼は駐在員としてどうか?」ということになるのです。若い人たちにはその部分を飛ばさずじっくり仕事に取り組んでほしいですね。当然こちらに来ると少人数の場合が多いですし、一人一人任されることが多く責任も大きい分、日本で培った実力が初日から問われることになります。私の場合も経理、財務、マーケティング、マネージメント、オペレーション、本社と進めるプロジェクトと業務量は多い方だと思います。当然アメリカの法律や州法、会計の州法も州によって違い、日本との調整もあります。そう考えるともう膨大な仕事量なので、新卒の皆さんにも現状の自分にどこまでできるのかが冷静に判断できると思います。かつて、先輩社員に「駐在員になるには、入社して最低8年以上かかかる」といわれたことがあました。その8年という意味が最初は理解できず、人事や海外事業部に課題を聞き、自分に足りない部分を補うために休み返上で努力をしてきました。たまたま海外駐在に空きが出たということも幸いし、会社から真っ先に声がかかり入社3年目という早い期間で駐在員になることが出来、当時の最年少管理職に抜擢してもらった経験があります。若い人にも目標をしっかり持って、その目標のために今何をすべきか考え実行してほしいと思います。
倉石:光山さんが、アメリカで仕事をしていて感じること、やりがい、難しさなどはどんなことでしょう?
光山:一番難しいのはやはり「人」ですね。自分が平社員として働く分には楽しく働けますが、人を管理する側にたつと、とても神経を使いますね。日本人にだけ偏らないようにとか、逆に日本人以外に偏らないとか、日本語の会話ばかり多くならないようになど気をつけていました。アメリカ社会における個人主義の中で日米における就業意識の違う社員の人たちを一つの目標に向ってモチベーションを高め、維持して行く難しさは常に感じています。
倉石:そのモチベーションが給与だけではないということですよね。
光山:給与でモチベーションをあげてもその一時は満足しますが、何に対して会社が評価したのか明確にし、成果に対して正当に評価することは大切ですね。仕事は大変でもこの仲間と一緒に目標を達成したいとか、この上司のために結果を出したいという気持ちを引き出すのはアメリカでは難しいですね。日本はその点、社員間の就業意識が近く給与以外に達成感などでモチベーションを上げて仕事に取り組んでいる方が多いと感じています。
光山:逆にやりがいというのはどうですか?本社の社長から大きいことを任されているということが一番でしょうか?
光山:個人的には社長が思い切って色々なプロジェクトを任せてくれる分、任された方は絶対に期待に応えて成功したいと思いますよね。日本的な考えかもしれないですが自分の会社ですから会社が成長する過程で自分も貢献したいし、何より主体的に仕事をさせてくれている社長には絶対に報いたいと考えることがやり甲斐に繋がっていると思います。
倉石:生活全般を含めて海外で働いてよかった思うことはありますか?
光山:駐在員になってよかったと思うことはまず日本では絶対に知り合えなかったであろう人たちとの出会いですね。様々な分野で活躍されている人たちとお付き合いさせて頂くことで大げさに言うと人生観が変わったり、ものすごい刺激になっていますね。見聞が広がるにつれて世界中の様々なことにも目を向けられるようになり、日本だけでは決して得ることが出来なかったであろう刺激、経験、出会い全てが財産になったと思う点です。
倉石:海外で働いている経験を通じてご自分は変わりましたか?
光山:今でもまだ成長途上ですが、色々な境遇の人たちを間じかに見ることで自分より長く生きている人たちへの尊敬の気持ちが芽生えています。会社の上司や先輩だけでなく、他社の駐在員の友人などと色んな話をするだけでも勉強になることがとても多く、そう言った過程で自分の考え方も奥行きが深くなり、会社を通していかに社会貢献できるかなど考えるようになりました。異文化の中で社会経験が送れたことは自分にとってラッキーだったと思います。
倉石:密度の濃い、中身が充実した生活といった感じですね。
光山:子供達の成長の過程を見ていても、私が今まで聞いたことがないような単語を小学校低学年で習っていたりしていて、こうやってアメリカ人になっていくんだなあと感じたり、自分が日本で受けた教育との違いを目の当たりにすることはとても刺激になりとても勉強になります。教育制度の違い、日米での考え方の違いなど客観的に見ることができると言う点では貴重な財産になってるなぁと思いますね。
倉石:よく駐在の方とお話なんかしてるとお子さんの教育の悩みなどお聞きすることがあります。
光山:それは駐在員の共通した悩みでしょうね。私達的にはやはりアメリカ人としてではなく、日本人として育って欲しいと思っています。英語に関してはコミュニケーションツールとして堪能な程度で、まずは日本語習得を最優先に、日本の文化もきちんと理解してほしいと思っています。最低でも2年に1回は日本の地元の学校に体験入学を1ヶ月ほどさせたりしています。具体的には日本の幼稚園や小学校に入ることで、こちらで経験できない給食や掃除などこちらにないものを体験させることで、子供たちが日本文化にスムーズに入れるように私達も努力しています。家では基本的に日本語を話すようにしていますが、兄弟同士だと英語になってしまっていますね。我が家では日頃から家族で日本のお笑いやドラマを見て、お笑いのセンスを磨かせたりもしています。関西出身なので高い笑いのセンスは身に着けてもらわないと。(笑)
倉石:あとどのくらいアメリカにいるご予定なんでしょうか?永住したいという希望もおもちなんですか?
光山:現時点では永住ではなく、最後は日本に帰りたいと思っています。あと4年半ほどビザは残ってますが、まずはアメリカのビジネスを軌道に乗せることが目標です。でも新しいプロジェクトや、この会社でいろいろ取り組みたいビジネスアイディアもたくさんあり自分自身これからがとても楽しみです。
倉石:企業を見るポイントを参考までには教えてください。
光山:会社選びと言う点で学生の方にアドバイスするとすれば知名度のある企業にフォーカスするのではなく、今後の業界全体の伸び、会社の潜在能力、会社が今後生き残って行くうえで競争力のある武器がどれだけあるのかを一つの指標に自分なりに分析して企業を選定することは大事ですね。
新卒の学生さんには社会や会社の仕組みがわかりにくいと思いますが、これまで学校で学んできたことがその会社でどういう形で力を発揮できるかを考えることで自分にあった企業の絞込みができるのではないでしょうか。
倉石:先ほどからお話に出てきた「目標」ということも大事ですよね。
光山:そうですね。何をやりたいかを明確にし、同時にどういった人生を歩みたいかもイメージできれば最高でしょうね。
最後に、希望の会社に入ることが出来なくても縁のあった会社で前向きに頑張っていることで人生には思わぬことが起こる可能性もあります。与えられた現状の中で日々辛抱強く努力していくことが人生成功のキーだと思いますのでので頑張ってほしいです。




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